諷狂 / ****'01/小野 一縷
寒い季節に浮かぶ 旋盤された月 白く散った光の環
環光が
凍りついた街灯を弾き 音叉として響かせ
夜を宇宙の一角へ切れ込ませる頃
分母だ
物差し程度の尺度では敵わない
星の数ほど 限度まで冷えた夜空
中空に角度を 震えながら書き込んで
悴んだ両手の筒で 覗いてみる
数々の星々 犇めいても 遥かな高さ
昇る有害な狼煙は それでも距離感を霞ませ
黒く張り付いた天井を 充分引き寄せて見せるが
狭い闇の中に小さく蹲り眠るには
冷えすぎて退屈すぎた 時間の流れ
一定周期の脈音にmsまで重ね合わせ
目を閉じ 数え 連ねる
やがて熱を帯び 速度を
[次のページ]
戻る 編 削 Point(6)