卒業写真/天野茂典
十月はたそがれの国
と呼んだのはレイ・ブラッドベリだ
木の葉が散っている街路樹
シャベルでかき集めては掬うのだ
そうよんだのはジャック・プレベールだ
まだ少しも色づいてはいない
ダークな色の緑の町では
透明な象たちが動物園のように群れている
サーカスは遠いジンタのリズム
ロックでもニューエイジでもない
古い洋館の写真館のシャッターは閉じられた
ままで
記念写真は汚れたままで
誰もお互いを視野にはいれない
渦巻き星雲では電話も通じない
みんな疲れ果てている
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