蛇の誓い/吉岡ペペロ
黄砂か花粉かフィルター越しに太陽が鏡のように光っていた
高速を飛ばしているとなんとなく蛇のお腹のなかをゆくような感じがした
それがシバタさんと今のじぶんの関係を思いおこさせるのだった
引き継ぎのとき所長が最後に紹介してくれたのがシバタさんだった
それからも何度となくシバタさんとお会いしていたが蛇と蛇とが睨みあい威嚇しあうような不穏な緊張を感じていた
シバタさんはいつもユキオの会社の足りないところを指摘した
所長がかわいそうだよ、ひどい会社だよ、きみもそう思うだろ、ユキオは黙って聞いているしかなかった
オレも会社も、嫌われてるんだろうな、
シバタさんに初めてご挨拶したときの妙
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