夜明けのモラトリアム/ネハン・フランク
 
過去いっぱいの浴室を開いて
君は音を立てて息をした
世界はもう少し理想に近づくべきと
誰かの書いた理論で夜が更ける


「最果てなんて所詮嘘だろう?」
強気な赤目が声震わす
然して君は生きたがらず
その右足は未来にある


シャワーを捻る手が
なんとも欲にまみれて
亡霊は皆嗚咽した
消える道は塞がれた


その時、君は何処で何をしている?


大人という無意味な定義の中で
君は手を握り続ける
涸れるほどの汗が冷たくなったら
夏の魔法へ失せていくんだろう


知ってるんだ君の秘密
世界が知りたい夢の結末
寝ては醒めて雲を掴む
逆光の中、別れてゆく




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