初めての狩り/殿岡秀秋
 
晴れた春の日に
幼いぼくは
緩やかな坂をのぼる

菜の花がまばらに咲いている空き地に
白く小さなものたちが
浮いたり沈んだりしている

菜の花に止まっている
蝶の羽に手をのばす
指でつかまえようとすると
蝶は気づいて飛びたってしまう

家にもどってお母さんにいう
「白いチョウチョウをつかまえたいの」
「紋白蝶ね」
虫篭と
虫をとる網がついた小さな竹の棒をもらった

虫篭の紐を肩からはすにかけて
白い網がついた竹をもって
空き地にもどり
蝶にちかづいた

白い網をふりおろすと
蝶は気がついて
飛びたってしまう

やはり無理なのか
がっかりしな
[次のページ]
戻る   Point(3)