あの娘/番田 
 
踊ろう何も手に持たずに 片隅にも何も返事を僕は持たない
新聞を投げ捨てて 夜をいつまでも生きていくことだろう
駅で悲しみのようなものを運んでいるのは 人々で
悩みすらも運ばれている コーヒーも運ばれてくる
運ばれているのを そうして見たけれど
覚えた輪郭が誰かだった

過去の夜に覚えた遠い日の僕が忘れた 見知らぬ誰かで
元通りにすらしないだろう いつもの女の子も
僕のものではなかった 海を流れていくのは
遠い国で見た喫茶店や 黄色やオレンジだ
赤い車を待っている
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