柔らかい命を踏んで楽しんでいると/真島正人
 
しそうな顔は
もうとっくに
わすれたけれど

一杯の珈琲が慰めてくれる

いたわってくれる

恵まれていることに
感謝し

恵まれていないことに
憎しみを感じ

爪の中の垢を

唇で舐め取ろうとする

そんな
一日があったっていい

僕が目を閉じると

すべてが引っ込み

僕が目を開けると

すべては色彩の世界だ

君の心の中で落ちている

小さな雨の雫を

僕は僕の胸に
当てはめることは出来ない

こうやって

ベッドに仰向けに眠りながら

呼吸をしているだけでも

宇宙はどこかで成長している

あるいは縮ん
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