柔らかい命を踏んで楽しんでいると/真島正人
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柔らかい命を
踏んで楽しんでいると
いつも不思議な音がする
どこかから聴こえてくるような
すぐ近くのような
ものすごく遠くのような
友人が一人電話をかけてきて
「朝刊によると街は血だらけ」
らしい
僕の読む朝刊にはそんなこと
一行も書いていない
昨日、
朝からしとしとと雨が降っていて
それで体の調子が悪くって
午後から少し晴れたので
堤防まで歩いた
雨がやんだあと独特のあの
なんともいえない湿り気が
空気の中に閉じ込められていて
僕の鼻はくすぐったくてうれしい
堤防の下から
犬を連
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