Eyre/月乃助
 
されるそこで、できうる限りの知識で己を満たし
人に教えられるほどになった時
やっと、古城からの家庭教師の誘いがありました
信じることができずに心を躍らせた 手紙
震える手でワックスを割った
年給30ポンドの俸給は、好条件だったのですから
いえ、お金でなく この暗い建物から抜け出せる
それが、ひどく嬉しかった
ほんのすこしばかり、自分のやってきたことが間違いでなく
自分自身をほめてあげたいほどでした
きっと次には、人を愛し 自分を大切にすることもできるのかもしれない
その人を想い描くと、頬が火照るほどのせつなさ
それが、いつかやってくる時があるのかもしれない
鞄に少しばかりの持ち物を詰めたら
すぐに出発しなければ
もう、誰も私をとめることはできない





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