投函/番田 
 

コーヒーのもの悲しさを感じさせられた
夜のひとりぼっちの 部屋のドア
誰かが手紙として 書くためのペンを捨てた
雪の道を やがて立ちつくしていた

雪の道は夜を果てしなく続いていく しかし
僕は死んでいるような気がした 高さのある長靴を履かされた
立たされた そして聞き慣れた流行歌が口に開いた
すれ違う者の 僕にひとりとして存在はしなかった

長い道は果てしない 世界は
離ればなれになった感覚がする 微かな足跡を残したまま
立ちつくす 僕は真っ赤な色のポストを目指して歩いてきた

角の向こうのぽつりと立たされた 真っ赤な色のポストは
闇の中だ 僕ははっきりと凝視していた
幼い頃に禁止された テレビ番組だった
閉ざされた目の 闇ではなく 思い浮かぶ
長靴の光の水は不快にしみこまされたのだろう

すべてはやさしかったのだろう 死んだ親族たちとのひとときを
思い浮かべる 道は続いていた 車たちは
しかし ブレーキを 踏まれることはない 人とは
社会の足なのだと 寂しげな過去を 歩かさせられていた

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