腹話術師の唇/楽恵
 
友人のパペットは詩人です。
有能な助手である腹話術師は、実はシャーマンです。
もちろん彼は左利き。
そして真白いシーツの手術台にいつも乗せられて
セルロイドの顎をカタカタ鳴らして話しているのが、
精霊である僕です。
可愛いでしょう。
パッチリおめめの、
透き通っていて、ときに夜光虫のような。
花を満載した車輪の下が
黒革のベルトで固定されています。
これが呪術です。
本邦初公開。
すでに後悔しています。

 
                冬の荒野を飛ぶ鳥が白い呼吸となり
                息はやがて青い電気の嵐となって
            
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