禁弾 / ****'04/小野 一縷
 
山脈のようなオウロラの荒波に生まれる渦の中心へ
螺旋状に繋ぎ合わされた音符が捻れた旋律となって注ぎ込まれる


歓声と悲鳴 奇声と怒号
明動 脈動する大気
その揺れを揺り篭にして触れる空気の波形を右肘の皮膚で感知する
大波 漣 肌を登る うなじの横を舐められる その空気圧に
その数値の冷たさに竦んだ体毛の根 毛穴の縮まりの収縮率に比例
触覚と知覚を混ぜた攪拌比率


廃墟のビルの渓谷流れる水銀の 夕陽へと紅く照り返す
紅い塊 小さな太陽が降り注ぐ 沸騰するビル風は次々と上昇する
黒い気流 死んだ彼方の子孫の魂がくすんで暗く陰る
墓は融け落ちた 沸騰する水銀の波辺 熱い
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