#9/
山口清徳
刺激さえなく
入り込む余地さえなく
雨音だけが満たす
平衡感覚の欠如
はじめから普通でなかったこと
心なしか不安
室内香の香り
もどかしさだけを抱え
その先を見遣る桟橋のたもと
そこかしこどこからか聞こえる往来の喧騒と
照らし合わす日々の憂うつ
底の見えない川面走る水の白い波しぶき
悶えがてら導き
無私の鐘の音に重ね合わせ
あてどない自問自答が結ぶ点のかけら、
僕はそれを噛み砕いた
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