童話(タンポポ)/
たもつ
クラゲの夢の中で
わたしは一輪のタンポポでした
ぽかんと風に吹かれて
空を見上げているばかりでした
タンポポさん、と幼い声で
男の子が手を振ってくれました
わたしには振り返すための
手もなかったけれど
やがて空が割れて
すべてが水びたしになるまで
ずっと手を振っていてくれました
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