同心円状のバルコニー/
中原 那由多
と
繰り返し繰り返し言ったところで
また明日も笑えない茶番劇
気だるく気だるく科白を吐き出して
控え目な八つ当たりに走り
丸く丸く収まらない衝動は結局
泡になって四散した
ほんのりと甘い匂いがする壁紙の傍
動かない空気を誤魔化したくて
橙色の小さな明かりにわざわざ頼った
久しぶりにラジオをつけたからには
どこかで繋がっていたいから
呟きに鍵をかけるようにして
身体を右に傾けている
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