蛇つかいとの交信/吉岡ペペロ
 
雨はもうやんでいるのだろうか
プリントアウトしたA4の資料をユキオは読みはじめていた
青灰いろの夕方はユキオが窓に目をやるたびに黒く染まっていった

自分の思考以外なにも聴こえなくなっていた
ユキオにとってそれは静寂とは逆のものだった
いつの間にか外はまっ暗になっていた
窓のむこうにマンションの明かりを見つけると次第にユキオは静寂を取り戻していった

金曜の夜営業所にカタヤマから電話があった
あすの午前中までに高松営業所半年で売上倍のプランを送っておくから土日に読んでおくように、とのことだった
資料には、高松営業所の現状分析、半年で売上倍の戦術、その具体策が分かりやすく書かれ
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