百貌のアサガオ/海里
 
今はまだ
パブロンの空き瓶にしまわれたままのアサガオ
君たちの勇姿を憶えているよ
天を衝くヘカトンケイレス
撓めても矯めても
行灯仕立てなどには収まりようのなかった
蛙手の百手の巨人

一つの大樹を征服しおえてでもいるかのように
日差しの中
なお涼しげに咲き競っていたガイアの息子たち
青きイポメア
盛夏のナス目
ヒルガオ科サツマイモ属の
クライミング・モーニンググローリー

明け方の繭の中に
黎明のエデンに
君はなんという祝福だったことだろう

今はまだ
透明なガラス瓶にしまわれたままのアサガオよ
ヘブンリーブルーなどではない
ただの雑種の
けれども百貌のアサガオよ

時が来たら
また好きなだけ伸び広がって繁り咲き
実を結びまくるといい
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