帰宅/たもつ
交差点の真ん中に
ダチョウが一頭立っている
たくさんの車や騒音に驚きもせず
ただ悠然としている
身長二メートル数十センチ
人より背は高いけれど
人がつくった周りの建物はさらに高い
そでれもはるか遠くを見据えて
首をまっすぐにしている
私はそのようなダチョウが好きだ
そしてそのようなダチョウのいる交差点が好きだ
やがて日没が近づくと
ダチョウは翼を広げ
空へと飛びたっていく
夢とか希望とか
そんな言葉を
ありふれたもの、と嘲ることなく
今日は家まで持って帰る
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