深海魚(グロテスク)/甘雨
わたし、を閉じ込めた包み紙がべたべたする悪夢を
かなでる色彩の
調律に
まどった
はじめに黒を描いたのは
いちいち死んでいく感情のモノクロームを撫ぜるため、
であって
硬質のうみの底のかなしみに塗りこめられるため、
ではなかった
(白い骨をあつめたちいさくつめたいベッドで)
(くりかえし終のゆめをみながら)
(きみに)
(抱かれたがっている)
つぎに赤を描いたのは
いちいち殺される欲望の鮮烈をとむらう儀式、
であって
硬質のうみの底にしずめた自我のほてりを揺り起こすため、
ではなかった
(だれもゆびがべたべたするのはきらいだから)
(わたし、を
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