アルフォンソ・サノヴァビッチ4世についての覚え書き/salco
 
器にかけるよう指示した。蓄音器では
デジタル信号を拾わないので娯楽室から専用プレイヤーを持って来てかけ
やると、その「テーブルトップ・ジョー」という歌を聴きながらこんなこ
とを語ったという。
「余の仲間も彼の国におったということだな。しかしこの青年は女に不自
由しなかったのだろう、自信が漲っておる。いかにもアメリカ人らしい志
向性だよ、将来に光が射しているじゃないか。
横隔膜を欠くせいでもなかろうが、元来余に歌唱の才はない。それより何
せヨーロッパ人だからね、早晩エンターテイメントからは足を洗わざるを
得なかった。そこがアメリカ人と違う。連中は、声が出ればまず発声し、
次にはど
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