アルフォンソ・サノヴァビッチ4世についての覚え書き/salco
 
のだ。これは冒涜的観念ではないのか。無神論では
ないのか。
いや、ここで余は存在の有無に拘泥などしないのだ、何故ならそんなもの
で信仰は揺らがない。余の心には確かに神がおわす、しかもセンターに。
要は、我々人間側の意識の問題なのである。すると意識なき魂の取り扱い
がわからなくなるのではあるが……。まあ、わからんものは放って置くに
限る。不可知に手を掛けるのもまた不遜に他ならない。魂などくそ食らえ
だ、畢竟、信ずるままに生きて死ぬしかできはしないのだから。そうだっ
た、明日はパンチェッタの特売日だ。うっかりしていた。開店前に並ぶよ
うカルロに』

侯爵は古き佳き時代の音楽を愛聴
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