夢でぼくは、旅人だった/あ。
っと振り返ることが出来た
もういちど深呼吸して自転車にまたがる
きみも当然のように後ろにまたがる
足に力を入れてぐんぐんと坂道を上ってゆく
きみはぼくの恋人なんかじゃない
でもそんなことは大した問題ではない
到着した
何処に?
ブレーキをかけるときみは素早く自転車を降りた
すぐにその姿は見えなくなってしまって
残されたぼくの目の前にはただ、風景があって
明日にはきっと、懐かしくなるものだとわかった
桃色の自転車をこぐぼくたちは
一瞬だけの旅人で恋人だった
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