魂風船/敬語
 

息を吐き出すつもりが、誤って魂を吐き出してしまった不器用な僕。

慌てて捕まえようとするも、当然ながら実体のない魂は触れることはできないし。
だけど、もし触れられたとしても不器用な僕には捕まえられるはずもないし。

どうすることもできずに、ただただヘリウムが詰め込まれた風船の如く空へ、ふわりふわりと漂っていく魂を見送るばかりであった。


しばらく呆然と眺めていた僕だったが、魂風船が雲に到達しようとする頃には我に返り、とりあえず声を掛けてみることにした。
だって、あれは僕な訳だし。

「おーい、おーい。僕の魂よ。君はどこに行くというのだ?」

返事はない。
勿論、返
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