くじら星人の逆襲/メチターチェリ
 
ったほうがまだしもであったのだ

しかしそれでも

われらの日新丸はくじら星人の一人を討ち取った
クジラの亡霊に取りつかれた
復讐の修羅 羽生船長の銛の一突きによって

瞬間われらの漂う海面は金色の輝きに染まる
それが刺殺によってもたらされた
断末魔のほとばしりだと気づくのに
われわれにはあと四百光年分のへだたりの
生理学的進化が必要だった

そして次に起こったことを
系統的に語れる者は
この船にはいない

結局のところわれわれは
何も分かっていなかったのだ
敵の生態も味方の生態も
自分たちの行動理念さえも

漂う艦隊のもくずの中で
くじら星人の曳く白波のしぶきを浴びながら
われわれは帝国の運命を悟った

戻る   Point(4)