くじら星人の逆襲/メチターチェリ
ったほうがまだしもであったのだ
しかしそれでも
われらの日新丸はくじら星人の一人を討ち取った
クジラの亡霊に取りつかれた
復讐の修羅 羽生船長の銛の一突きによって
瞬間われらの漂う海面は金色の輝きに染まる
それが刺殺によってもたらされた
断末魔のほとばしりだと気づくのに
われわれにはあと四百光年分のへだたりの
生理学的進化が必要だった
そして次に起こったことを
系統的に語れる者は
この船にはいない
結局のところわれわれは
何も分かっていなかったのだ
敵の生態も味方の生態も
自分たちの行動理念さえも
漂う艦隊のもくずの中で
くじら星人の曳く白波のしぶきを浴びながら
われわれは帝国の運命を悟った
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