我らが日々を荒涼とするのか、老兵よ!/真島正人
された
私の体には
水分が
空には
ちゃんと空が
あった
私の深い安堵は
私の体を伝い
この世界の湖に
沁みこんで行く
私が投げかけた波紋は
私という形たちをなして
そしてやがて同化するだろう
理を
書き込んだ
英知の書物が
すでに教えている
途切れ得ない暖かい波
※
こめかみが痛い
心が
疲労している
そして途切れた線は
私を締め付ける
なんだ、
目が覚めて改めてみると
これはただの
針金の線だ
私の大切な線は
別にある
※
我らが日々を
荒涼とするなかれ
老兵よ!
誰かの
つたない呟きが
投げ捨てられた!
ここは深い夜
漆黒の
波のさなかの
夜の小道だ
私は振り向いた
胸いっぱいの郷愁と
愛と
戸惑いをこめて
振り向いたのだ!
そこには誰もいない
投げ捨てられた
つぶやきだけが
宙に漂って
やがて消えた。
あぁ
これも
ひとつの愛だ!
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