ハミハ/木屋 亞万
 

甘い唾液が行き来する
女神の髪が私の顔にかかって
時折もれる鼻息が爽やかな風となる

それが喧嘩でも戦争でも諍いでも
何であったとしても、すべて
呑み込んでしまえばいい
あらゆる危険と暴力を口に入れた状態で
快楽に身をとろけさせてしまえばいい

肌はいくら露出しても死なないが
血を流しすぎたならば人は死んでしまう

凝固した透明が融けてなくなったら
気の抜けた炭酸水を飲もう
私の肺が鍾乳洞になってしまっていたとしても
女神が石膏の像となり、手がもがれていたとしても
決して涙は流さない、漏らすのは絶頂の声だけ

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