3月/番田 
 
何もない祭日に
父に寄り添い散歩へ出かけた
ベンチは暖かい風が腕へとぶつかる
公園の中には木の枝ばかりが散らばっている

アイスクリームを買ってもらうと
芝のへりに腰掛け
忘れていた人たちを思い出として見つめながら
絵本をめくれば指が触れた現実を
夏に乱反射するラムネの栓に開けていただろう

壁面はコンクリートブロックの灰色に書かれた嘘
僕はそれをのど元で飲み込んでいた
母は洗濯機を網戸の向こうに見つめていたっけ

学校の裏道で
体操服を揺らす女の子の姿など追いかけていない
縞模様が刻むスカートはコンビニに揺れているのかなぁ
アルコールランプの匂いがしていた

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