物思い/番田
僕の知らない生活を
夜の窓辺でぼんやりと考える
親指を噛みしめた 飛行することが
叶えば 目的地なのだがと
老人が考えているような部屋で
世界に暮らす人々の心に 憂鬱としての
憂鬱を頭に思い浮かべていたい
海が流れるテトラポットに居座っている
捕鯨船が入港する時代に あきらめようとして
僕はもう誰の子供でもないのだけれど
何者でもなくなったのだと煙草に火を灯す
若葉の中から 溢れたコインが
場所をなくして 海の向こうにある アメリカに黙りこむ
その向こうには ヨーロッパがある
写真は揺らされていた 石畳の風に
鋼鉄でできた鎧を着た兵士が旅をしている
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