蛇つかいうごく/吉岡ペペロ
半年で売上倍のことで所長は憤慨しカタヤマとやり合い会社を辞めてしまうことになったのだった
上田さん、その片山先生から電話です、
ユキオがカタヤマと話すのはあの応接室以来だった
上田さん、あれから散髪はされましたか、
散髪ですか、してません、
そうですか、いまから散髪に行ってきて下さい、
ユキオの不服そうな沈黙をカタヤマの甲高い声が破った
腕も人脈もない人間は勝つ確率の高い行動を選ばなければならない、ぼくはきみに勝ち方を教えてあげているんだよ、そんなことをカタヤマはまくし立てていた
ユキオはそれに親近感を覚えた
ひとから勝ち方を教わったことなど今までにあっただろうか
怒られてたんですか、
ツジさんがユキオに聞いた
いや、蛇つかいがうごきだしただけだよ、
そう言ってユキオはカタヤマのオールバックの匂いを思い出そうとした
胸のなかのじぶんの知らない蓋があいたときのことを思い出していた
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