ふゆのこえ/草野大悟
 
こがらしがこんなに
びゅうびゅうとふきあれるなかで
つりざおをふるぼくを
わらわないでください

ゆきはふりまたふり
ふりつもり
くもはうずまき
ながれ
びゅうびゅうとながれ
ひっそりとうみは
みどりいろに
いきをひそめているのに

きかないでくださいけっして
なにがつれるかなどと
ぼくじしんがわからないのに


そういえばきのう
ぼくはいっすいもしていないのです

だれかをたいほして
ぎりぎりとじかんと
たいじしていたのです

そのひとが
おんなだったか
おとこだったか
いまはおもいだせないでいます


なまりいろのかぜが
さんだんじゅうとなって
ぼくのからだにむすうのあなをあけ
そのあなたちに
びゅうびゅうとなにかが
きょうめいしてないています

ないています

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