大蛇と影を重ねて/ポッポ
盤を見たが、それは睨んだのではなく、ただ見ただけのようだった。
演奏中、僕はなんども自分に問う。
どうだ? これか? これじゃないのか?
………………………………………………
僕は音を確認し、がっかりする。なによりも、閃きによる快感がまったくないことに気づいた……。モノにしたはずの?コツ?を必死に駆使しようとしても、内側のずっと深くに迫るような感覚が消え、?見えているものをそのまま解釈する?という平凡なことしかできていない……。
三分ほどの演奏で終え、僕はうなだれた。しばらく放心し、そのあとで考える。
技術ならちょっとした間違いもあるが、僕が求めているものは技術ではない。ま
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