ピッチャーだった頃/番田 
 
何の変哲もない毎日を過ごしている小道で
かつていた季節の気配へとまどろんでいた

コンクリートの裏手を行くコンビニ近くのアスファルト
クルーザーが欲しいと思いながら抜け出た
杉の角を曲がって大通りに向かう

ガラスの窓でランチを食べようと寝ころぶのだった

ポスターを見て母に電話をかけた
切符は度数を切っていて
1万円札がなくなりそうになって少し焦る
冷房をかけながらこれは電話をかけるなという印なのかと
破りすてコンビニに入り雑誌をめくった

墓場の特集はオレンジ色のユニフォームだけがきらめく

屋敷のランチが食べ放題だった日の紫に
赤い福神漬けはないとおばさんがつぶやく
野球場で舌を赤くしていた頃が懐かしい

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