卒業讃歌/中原 那由多
 


そんな駄作であっても愛し続けることを誓って以来


世間体に乗せられてのらりくらり
それが指差す方角であるならば
荊で怪我してしまっても
泣いて引き返すことはしなかった
もしも、ろくでなしでなかったのなら
光の向こう側はきっと空中庭園だったかもしれないが
砂漠を行くことは決して嫌いではない


名残惜しさを涙に変えられる人達が、少し羨ましかった
疎ましかったステレオタイプは
最後の校歌として通り過ぎてゆく
「さよなら」も「ありがとう」も
氷の顔にはやはり似合わないから
振り返らないで、その場を後にした


平成二十二年 二月二十七日



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