蛇つかいたちの行進/吉岡ペペロ
 
春の水っぽい匂いがユキオにはなんだか他人事のようだった
グシャグシャにつぶされた空き缶が朝の風に音を立てた
ユキオはそれを視界に入れないようにして会社へと急いだ

いつもより会社の朝はそわそわとざわついていた
きょうの朝礼で紹介される経営コンサルタントの男がもう応接室に来ていた

ユキオの会社もご多分にもれず売上を30%落としていた
2月からの給与カットが姿をかえてユキオの胸と顔には貼りついていた
自分の価値が減ったという恥のようなものが貼りついていた
8時10分からの朝礼でその経営コンサルタントがどんなことを言うのか、ユキオは期待もし不安も感じていた

チャイムが鳴りラジ
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