Mother, Wife, Sister, Daughter/楽恵
太陽の下で、町には向日葵が咲き乱れていた。
待望の赤ん坊は、女の子だった。
腕のなかに眠る小さな娘をみて
母親は待ち望んだ願いがついに叶えられたことを知った。
夫は、妻である母親を顧みることがなかったので
彼女の愛と願望は日々満たされることはなかったが
今度は小さな娘が彼女の夢と理想になった。
母親の愛を一身に受け、娘は育った
娘には夏の西日のように密かな夢があった
それは自分の小さな妹を得ることだったが
向日葵の町でその夢が叶うことはなかった。
娘は母親の期待通りに成長したが
年頃になると革命思想に魅了され
母親と向日葵の町を捨て、遠い都に去った。
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