傷んだ洗面から賛美歌は始まる/ホロウ・シカエルボク
 





瞬きの間に世界が反転したような疼き
ただ真っ白な洗面所にめり込むほど顔を落として
流れ落ちる水のうねりは熱意のない鎮魂歌のよう
午前6時の切断は排水溝に埋葬される
毛根に残された水滴からは吐瀉物の臭いがする
そんなものをため込んだ覚えはひとつもないのに
白み始めた朝の中でそれまでのすべてが水泡に帰してしまった
(水泡に、まさしく水泡の中に)
目覚まし鳥の消化不良なくちばしの中での呻き
気をつけろよユーザー、呑気に見えて
そいつらは結構人を選ぶぜ
渦巻きの中に俺自身が消えたから
行動という概念が心中とうまくシンクロしない
スティ
[次のページ]
戻る   Point(2)