物語/蒲生万寿
 


家から犬を連れ出して骨を与えろ

その上ねずみにガラスを齧らせろ

砕け散った底を見れば

自ずから知れたもの

何が見える

星か 月か

海か 魚か

どうでも構わぬ

右に8歩進んでから指を曲げろ

そこから生じる蒸気を吸い込めば

その時こそ

陽は沈む

雨が降る

雪が溶ける

最期の夏にうなされる

颯爽と舞い上がる雲は見えたか

それでも

お前はいつも独りだ…

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