ふりだしに戻るばかりの小さなさいころゲーム/ホロウ・シカエルボク
 








自爆的感覚を抱えたような内耳のノイズ
死角から襲いかかる獰猛な獣みたいに、小憎らしい感覚で脳髄の末端をつつく
俺の表情がちくちくとふるえるのが判るだろう
何か重要な組織にそいつは障害を差し込むのさ、嬉々として…
震度三のグラつきが眼球に認められたときには
もう手遅れなくらいに崩れ始めているんだ、ドクター、それ以上明かりを当てないでくれ
細胞に染み込んだ障害なんてどうせどうにも出来たりなんかしない
これを抱えて生きてゆこうと心に決めたばかりなんだ
停泊する船のマストのような揺らぎ
船底に空いた穴からエンジンオイルが海中に漏れだして俺
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