冬釣り/番田
工業地帯は
白い煙が巻いている 僕の
思いは 黒い壁に塗り込んだ塗料
何も語らない口が
その口が
赤く開いた寂しさに
群青色のトラックが走る
僕の思った 焦げ茶色になびいた布が切れる
街は 何が起こっている
街は寂しい 手に触れる
模様を描いた指は 手に
その手に何か
釣り針に通した餌につけた 模様を
海に投げる堤防の端に染みついたよだれ
僕は 泳ぐ魚の姿を脳裏に焼き付け
そうして 僕は
泳ぐ魚の姿を 堤防の端で手に掴む
突堤は吹く風があまりなく
大漁は 午後二時の黄色い時計に流れこむ
戻る 編 削 Point(0)