パンドラ/月乃助
 
うぶごえをあげた春が、もう
街にすがたをみせる
通りの角から
にぎやか過ぎるその声音が、
あたしを助けにきてくれる
手をひくように

階段をのぼったら
勇気をほんのすこしばかり だして
あの頃の夢をこわしてみる

あたしは、
十四のあたしの夢に
負けてしまっているのですか
結局むかしを思い出しては、
涙をながしたり、 

あんなにも輝いていた
若さにすべてを まかせ
後悔を知らずに進んだ どこにも
数えられないほどの道が開かれていると
信じていた

まっすぐに見てください、
目を合わせることもできないほどに
小さくなって しまわずに
厄介なことは
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