創書日和「祝」 桜茶/逢坂桜
大安の日曜日、姉のために桜茶の用意をした。
5年越しの恋人が、婚約者となったのだ。
いつもおっとりした姉だが、この日もおっとりとしていて、
父親が迷ってばかりのネクタイを、一緒に選んだりしていた。
5年前、素直になれる勇気があれば、
桜茶は私のためになったのかも、しれない。
「これで全部?」
台所に立つ母を振り向く。
「ありがとう。後はお母さんがするから、
あんたも早く着替えちゃいなさい」
「はいはい」
なんのかんのと手伝いを見つけて、着替えるのを後回しにしていた。
つつがなく終わった夜、母が台所で洗い物
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