お化けになりたい/殿岡秀秋
小学校の修学旅行で
男子は三つの班に分かれる
クラスのほとんどがいずれかに手を挙げたが
ぼくはどの班に入っていいかわからない
先生が人数を確認していく
「男子がひとり足りないわ」
それはぼくです
ということができない
クラスのみんなが
名前をあわせながら足し算していく
そのひとりがぼくであることに
気づくまでの長い時間
どの班に入ったらいいか
迷っただけだ
とつぶやいてみる
やがてぼくの名前をささやく声がする
「いや二班に手をあげたみたいだよ」
とぼくの代わりに弁解する声まで聴こえる
その日ぼくはどの班で
修学旅行に行くことになったのか
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