夜行サイクリスト/大村 浩一
はおぼろ
たぶん昔にあいつと行った長崎の松浦まで
姿のない僕がきみの
自転車を漕いで
僕は何をしたかったのでしょう
何かきつい事を言おうとしたけど
そんなことしたがる自分がなおさら嫌で
きしきしきし夜鷹みたいにそれでもいたたまれず
それでこんな風に
さまよい出るのだと
(あのサイト、本当になくなっていました)
悪夢はその人を癒す為に見ると聞きましたが
夢に殺される事もあるのかもしれません
いやな人たちの家が燃える
どうという気もしません
僕のした事は 他の人のせいで
他の人がしたのよりも少し早く
消されていく
自転車は走っています
自転車は走っています
広い空の下を走ってきたのに
流れる地面しか
思い出しません
いまのところ
朝には戻っている
そんな事を何度かくり返していますが
いつ居なくなっても不思議ではない
覚悟はしています
2004/09/14
大村浩一
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