綺麗事/nonya
 

自傷天才詩人の
ブラックモア君は
半端な綺麗事ばかり書くなと
僕を罵った

確かに
君の本音剥きだしの綺麗事は
美しいけれど

明らかに
臆面もなく格好つけていいのは
君のほうだけど

紛れもなく
後出しでもジャンケンに負けるのは
僕のほうだけど

もしかしたら
君と僕の違いって
綺麗事の色合いと反射角が
ちょっとだけ違うってこと
なんじゃないのかな

君のは
愁いの霧にラッピングされた
綺麗事

僕のは
皮肉の茸をトッピングした
綺麗事

どちらも
傷ついていない
血と
骨と
肉によって綴られた
薄っぺら

少し湿っ
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