時間の定義/葉leaf
自殺者が私にこう告白した。
「いつの間にか「シ」という音が俺の全身に転移していった。初めはこの「シ」は「詩」なんだとか「史」なんだとか思おうとしたが、そのような思念の枝分かれ・芽吹きを斬り落として、「シ」は紛れもなく「死」という概念、つまりきわめて聡明な盗人と共犯していった。俺は暗闇を好むようになった。わざと街灯のない路地までいってそこに座り込んだり、電気を消した部屋の中で血液まで暗くなることを望んだり、昼間でもカーテンを閉め切ってあらゆる闇を集めようとした。俺は十分に闇を凝縮し、そこから滴る握力で自殺を決意した。そのとたん、俺の中からあらゆる闇が流れ出し、均一な世界の中で俺は完全な光と化した
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