長い伝言/草野春心
い泡に
静かに……静かに自らを沈めてゆけたらと
僕がどんなに願い、祈り、
白痴のようにカタカタ笑っても
世界の真実はいつも君の側に
君の吸った煙草に
鮮やかに残った紅のなかに
あるのだろう、知っているさ。
僕は此処から
あと五分ぐらいしたら居なくなるだろう
そしてそれから五分ぐらいしたら終電に乗って
練馬区にある自宅に戻って
眠りによって原子レベルまで解体される
僕の思うことすべて、君が伝えてよ
絶え間なく反射する心の光線
透き通ることのない厚ぼったい肉体
別れを告げることで僕らは永久に出会っている
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