長い伝言/草野春心
しらふでいるうちに聞いておきたいことが
一つや二つ、あった気がするのに
氷の溶ける音が小賢しく
かたちあるドラマへと手招きをしたから
大人しく僕は身を委ねて
よく知らないジャズと酒と
金曜ロードショーの垂れ流しの空間に
言葉を捨てて身を委ねて
ほどけてしまった魂の
密教じみた複雑さに手を焼きながら
ふと目覚めたようにアフリカの大地の
嗅いだこともない土の匂いを思い出したり
日本の週末の酒場の喧騒と
アメリカのC.ブコウスキーの
やくざな文章を結びつけたりして
ちびちびと飲むバドワイザーの白い泡
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)