「春の頂」から/まどろむ海月
 






フェニックスが茂る林に
幻のような野生馬の跡を追って
突然開けた真っ青な海

潮風を受けてたたずむ
透明な大きな瞳 に
いつか つつまれていた





思い出の函に入れる
夕暮れの結晶を求めて!
あの日も 風に吹かれ
長い草山の坂を走っていた二人





天と地を 一つに包む
銀色の霞の真中
岬の山上に 一日は
その壮大な空間を
黄昏れていった

 燈色の陽の記憶を残して

海からの風にさらされ
なびく春草を無心に食んでいた
野生馬達・・・





星が 海に 落ちたのか
夜空は はるかに 拡がって
星座の浮かぶ 闇の底からは
微かに 潮騒が 聴こえてくる

 漁り火が 北七星のように・・・





青島の海 空
荒々しい千畳敷 激しい波
風の遠景に立つ白い灯台

灯台に寄り添った細い君の
息遣いが伝わる・・

こうした 風景の彼方 なのに





      






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