平面海溝/15フィールズ
 
貝殻は
ピチャ
とできるだけ存在を消すように
波を立てないように
海の中へ沈んでいった
僕は貝殻が海の中へ沈んでいく様を想像した
深くて光の届かない暗闇へ
ゆっくりと
しかし着実に沈んでいく
欠けた貝殻
しかしそれは
想像を絶することだった
僕はそれについて考えることをやめた
海の匂いがする
だからあなたの匂いがする
あなたは微笑む
しばらく僕達は見つめ合う
けれどずっと黙っている
いつだってそうだ
だいたいみんな
ずっと黙っている
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