平面海溝/15フィールズ
海の匂いがする
そしてあなたの匂いがする
海はさざ波一つなく
空から降り注ぐ
まばゆい光を乱反射して
ところどころに見えない部分ができている
あなたは微笑む
僕は海に手を入れるけど
何かを掴み損ねる
おまけに耐えられないくらいに
海は冷たい
あなたは砂浜で欠けた貝殻を拾う
僕は海から引き上げる
砂に書いた言葉達が
波に引きずりこまれた
どんな言葉だったか
もう思い出せない
僕はあなたへ近づいていく
そしてあなたと親密さが許した距離に近づいたら
僕はこう言うのだ
「もういいだろう」
それを聞いたあなたは
手に持った欠けた貝殻を
海へ思い切り投げた
貝殻
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